
ミシンとの出合い
敬子:
G3(じーさん)こと勝さん、ご病気がちだったんですか?
G3:
はい。
B3:
もうね、1番最初は大腸。そこが擦れて大出血した…
敬子:
あら!
B3:
大出血。それから入院して。それからが、病気ばかりして。
敬子:
病気ばかり。それで、引きこもりがちになっていたときに、ミシンと出合われたんですね。
G3:
そうです、はい。
敬子:
娘さんから「ちょっとミシンを直して」って言われたら、すごーくミシンに興味が出てきたと。
G3:
いや、直しはもう簡単にね、すぐ直るでね。そういうのは得意やもんで。
敬子:
それでミシンを直してみて、ちょっと試し縫いかなんかやったんですって?
G3:
そうです、試し縫いで、なんか雑巾みたいに、バーっと縫えてしまったんでね。あ、面白いやないかいって。
敬子:
面白かった!
G3:
うん。面白いやないかと思って。これ、なんかできるんじゃないかなと思って。それがきっかけですね。

がまぐちバッグの誕生、そしてお仕事へ
敬子:
娘さんががまぐちバッグがお好きで、「がまぐちのバッグを作って」っておっしゃったんですね。
G3:
そうですね、がまぐちバッグの金具を持ってきて、これ作ってくれんかちゅうて。簡単にできるってゆうたけど、ところがね、なかなか難しかったね。
B3:
誰も先生がおらんと、教えてもらう先生がおらんかった。
G3:
自分で型紙からこしらえてね。
B3:
自分でみんな作って考えて。
G3:
やっぱり自分の得意なことがないと、張り合いがないね、簡単にできるとね。
敬子:
なるほど。簡単にできると、つまらないんだ。
G3:
つまんないです。で、苦労して、苦労してできたとき「あ〜できた〜!」って、その喜びは他には代えられんね。
敬子:
素晴らしい〜。いや〜でも、お孫さんのアイデアでSNSで発信を。
G3&B3:
そう、そう。
B3:
このおじいさんがね、自分で考えて、何もかも作って、作りあげたのを、もっとみんなに知らせなければあかんって言って、そのTwitter(現・X)でね、やってくれました。
敬子:
それで、そこから、この趣味のようにして作っておられたバッグがお仕事になったんですね。
B3:
そうですね。

今がいちばん幸せ。57年目の結婚指輪
敬子:
おふたりがこうやって、G3sewingのおかげで生活が落ち着いてきて、プレゼントの話があったと聞いておりますが(笑)。
B3:
(笑)もうね、本当にこの仕事するようになってね、ようやっと余裕ができるようになって。ほんまに、ほんまに昔とか財布にね、硬貨しかなかったぐらいの苦しい生活しとったんね。
B3:
ほんと辛かった〜もう。本当に借金まみれでね、もう、本当に辛いことばっかり。この人も辛かったと思うのよ。ふたりがやっぱ夫婦やて、みんな何事にしても辛い生活しとった。
だけど結婚から57年目にね、あ〜結婚記念日だって。こんな年齢になってしまったけども、お父さん、ちょっと今からイオン行ってくるねって。「そうか、行ってこい」って。「じゃあお前の好きなものをね、どんだけお金が掛かってもええで買ってこい」って。
やっぱり、自分は指輪が欲しかったわけ。指輪を買って欲しいから指輪のとこ行って探しとって。あーよし、これを記念にこの指輪を買うてもらった。私が、ようやっと自分の思いの指輪を買ってもらうことができたっていうその喜びで、ほんまに嬉しかった。
敬子:
いいお話。ね〜素晴らしい!

指輪よりも幸せを感じるもの
B3:
もう本当にね。朝起きたらちゃんとね、「朝か、今日いちにち頼むわね」って。
寝るときは、「今日いちにちありがとね」って。そこまで言ってくれてね。私、その言葉がもう忘れられへん。これがいちばん、やっぱり嬉しい。昔はどうであってもね、今が楽しいね。娘たちに囲まれてこの仕事をするようになってね、どんな苦労でも苦労と思わん。
敬子:
素晴らしい。奥様から色々と素敵なお話がありましたので、今の生活はどうですか。自分的に幸せだなとか、楽しいなとか。
G3:
今楽しいね。
敬子:
楽しい!
G3:
うん。楽しい。いちばん楽しい。
G3:
幸せっちゅうより、楽しいね。
孫が、ひ孫までできてさ。
敬子:
素晴らしい。
G3:
うん。何よりもみんなとご飯。バーっと来たときに食事するのがいちばん楽しいね。
うん、何よりも。何にも代えられんね。
B3:
もう昔のその苦労が逆になってね、今は何食べとっても楽しい。おいしいの。嬉しいの。うん、それがまず今の状況ですね。
G3:
食事がおいしいっちゅうことはね、幸せっちゅうことね。
うん。いくらお金があっても、何食べとってもおいしゅうない。
B3:
おいしゅうなかったもん。
G3:
やっぱり今やったら、もうお茶漬けでもおいしいもんね。
B3:
おいしい。

ふたりの生きがい
G3:
幸せって、お金と違うね。
B3:
ね。みなさんからお手紙やら品物やら、いっぱいいただいて。
こちらは作ってお金もらっとんのに、作ったバッグのお返しにね、お礼状や贈り物などをね、いただくんです。もう、そういうのが私の本当の生きがいです。ファイルが9冊になるくらい、お礼状が来てるんですよ。それがふたりの生きがいですね。
ものすごく嬉しいことです。
敬子:
では、今日はG3sewingのおふたりにお話を伺いました。
私もう、感動いたしました。末永く、末永く、ご家族様で、お幸せにお過ごしになることを心から祈っております。
今日は、どうもありがとうございました。
G3&B3:
ありがとうございました。